日本風景街道大学島根校開催報告

◆14:00~14:20 開会式/教養講義室棟2号館701号室

主催者挨拶 NPO法人日本風景街道コミュニティ 代表理事 石田 東生
来賓挨拶 島根大学 理事・副学長 塩飽 邦憲 氏
島根県土木部長 冨樫 篤英 氏

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石田 東生 代表理事 挨拶

日本風景街道大学は地域の活性化に役立つことを目的として宮崎で開催されてきた。宮崎本校での学びを通じて全国でのネットワークが広がっており、平成26年2月には静岡、今回は島根で開催となった。来年は岐阜での開催が予定されている。昨今「地方創生」が叫ばれているが、日本風景街道は地域の愛するものを再発見し、来訪者にも楽しんでいただくことで地域を活性化していく取り組みであり、地方創生そのものである。今回は島根大学の協力で、大学の正規の科目である「島根学」の一コマとして講義をさせていただけることとなった。若い世代に我々の想いを伝える新しい取り組みができることを感謝したい。

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塩飽 邦憲 副学長 挨拶

島根大学は地方の総合大学であり、地域に貢献できる人材を育てることが重要な役割である。本学の学生の7割が県外出身者であり、そのような県外の学生に島根県に馴染んでいただくことを目的として「島根学」を開講している。日本風景街道は地域の道路などを活かして地域を活性化していくという取り組みと理解している。実りあるものとなるよう願っている。かつてバリアフリーのまちづくりに関わったことがあり、道路を造るだけではなく、道路を地域振興にいかに活用するかというソフト事業が重要と考えている。このような取り組みを外部に向けて発信していきたい。

 

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冨樫 篤英 部長 挨拶

 

島根県と言えば出雲大社が有名であり、旧暦10月に当たる今月は出雲では「神在月」と呼ばれており、加えて大遷宮、尾道松江線の島根県側全線開通により804万人の観光客が訪れている。また、高円宮典子様と千家権宮司との結婚、松江出身の錦織選手が全米オープンで準優勝を遂げるなど最近は全国的に取り上げられることも多い。これに限らず特色ある地域資源に恵まれており、世界遺産石見銀山、世界ジオパーク認定を受けた隠岐がある。中国地方独自の取り組みとして夢街道ルネサンスもあり、日本風景街道ともども地域振興やまちづくりに今後も取り組んでいきたい。

 

◆14:30~16:00 全体講義「島根学」/大学ホール/教養講義室棟2号館701号室

島根について学ぶ島根大学の教養科目「島根学」の1講座として、全体講義を開催しました。学生と一般参加者の計約250名が大学ホールにて聴講され、また別室の教養講義室棟2号館701号室にて、島根大学遠隔講義システムを利用して約100名の方が聴講されました。

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大学ホールの様子
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701号室の様子

 

 

 

 

 

 

【「日本風景道」の活動、地域の再活性化、地域創生について】
・NPO法人日本風景街道コミュニティ代表理事(筑波大学大学院 教授) 石田 東生

clip_image002現在ある道路などの社会資本を活用して地域を元気にしていくことを目的として、日本風景街道の活動に取り組んでいる。日本は危機を迎えており、地域が存続できなくなることや都市部への一極集中などが大きな問題である。このような問題を解決するためには地方が元気になる政策が必要であり、そのためには地域からアイディアを出すことが大切である。地域の人々が大事にしている、地域のオンリーワンをアピールする戦略が重要である。このオンリーワン戦略を実現する上で、「風景」や「みち」の力を地域が連携して活用するという日本風景街道の活動が、地方創生を進める上でも必要だろうと考えている。

資料:風景街道大学島根校(地方創生と風景街道)

【島根における日本風景街道の取組みと地域創生についての事例発表】
・「人間文化の原風景」湖水街道推進会議 座長 三代 隆司 氏

clip_image004宍道湖・中海圏域において、風景と文化を地元と一緒に守り、外にPRする活動として、景観が良い場所に設置するカフェやマップコードの活用等様々な広報・PR等を行っている。同じ山でも見る場所や時代によって呼び方が違う。美しい景色を見るだけでなく、地域による山などの呼び方の違いやプロフィールを知ると親しみが湧き、風景の見方や楽しみ方も変わってくる。今後はそのような風景の楽しみ方を紹介する取り組みも行いたい。

資料: 島根学講座発表資料_前編
 資料: 島根学講座発表資料_後編

・「風待ち海道」風待ち海道協議会事務局長 野辺 一寛 氏

clip_image006隠岐の日本風景街道はひとつの道路ではなく、島全体を対象エリアとして、そこに存在する地域資源を活用した官民協働のまちづくりを進めている。ワオンカードを活用して買い物をすると隠岐に納税できる制度を活用し、地域貢献を促進する取り組みも始めた。2013年に隠岐は世界ジオパーク認定を受けたが、地域に愛情・誇りを持つことで、世界を相手にできることを示した。島の子供たちが隠岐に生まれたことを誇りに思えるよう、地域づくりを通した様々な取り組みを今後も継続していきたい。

資料:野辺 一寛 氏島根学講座発表資料

・「銀山街道・陰陽結ぶ銀の道」銀山街道沿線市町連携協議会会長 塚原 隆昭 氏

clip_image008銀山街道に並行して開通した尾道松江線の利用者を取り込んで地域の活性化を図ることを目的に、官民協働したパートナーシップによる活動を続けている。日本風景街道に関するフォーラムの開催、広域的なガイドの育成、沿線風景をテーマにしたカレンダーの制作事業、島根県の大森から広島県の府中市までを走る「飛脚プロジェクト」などを実施してきた。今後は道の駅を起点としてウォーキングやサイクリングを楽しむための、サイン設置やマップ作成を行いたい。

資料: 塚原 隆昭 氏_島根学講座発表資料

◆16:00~17:30 車座会議 テーマ「日本風景街道」の活動を継続させる仕組み作り

座   長 : 島根大学教育学部教授 作野 広和 氏
話題提供者 : 日本風景街道コミュニティ 理事 田中 孝治氏
㈱チームふらっと代表取締役 晴野 まゆみ 氏
天領江津本町甍街道 事務局長 村川 立美 氏
国土交通省中国地方整備局 道路部長 野田 勝 氏

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サブテーマ
1)「日本風景街道」と地域の連携について
2)広報活動との連携でブランド力アップへ
3)回遊性の向上に向けた取り組みについて

 

【話題提供】

clip_image012国土交通省中国地方整備局 道路部長 野田 勝 氏

中国地方独自の取り組みである夢街道ルネサンスは西暦2000年に「新世紀記念事業」として始まり、現在39地区が認定され、地域の方々が集まってマップ作成をしたり、「夢街道フォーラム」などの交流・勉強の場を開いたり、行政との意見交換などの取り組みをしてきた。「夢街道ルネサンス」から「日本風景街道」へ発展した例もあり、「夢街道ルネサンス」と「日本風景街道」とは極めて密接に連携し、一体となって活動している。

資料: 1_野田 勝 氏_車座会議話題提供資料_1104ver

天領江津本町甍街道 事務局長 村川 立美 氏

clip_image014江戸時代の絵図に描かれた町割りが残る江津本町の街並みを建築士や大学教授等の専門家に評価していただいたことがきっかけとなり、「天領江津本町甍街道」として夢街道ルネサンスモデル地区に登録していただいた。観光地を目指すのではなく、住みやすい、お年寄りに優しいまちづくりを目指して活動している。今後は日本風景街道とも連携してまちづくりを進めていきたい。

資料:2_ 村川 立美 氏_車座会議話題提供資料

㈱チームふらっと 代表取締役 晴野 まゆみ 氏

clip_image016日本風景街道と道の駅が積極的に関わっている事例は少ないが、宮崎県の日南海岸きらめきラインでは、Facebook等での広報を道の駅と連携して行っている。長崎県ではで道の駅全駅が参加したスタンプラリーを行い、回遊性を上げる取組みを行っている。私自身は、インバウンド向けに日本風景街道を観光ルートとして紹介する取り組みを運輸局の支援を受けて実施している。

資料:3_晴野 まゆみ 氏_車座会議話題提供資料

日本風景街道コミュニティ 理事 田中 孝治 氏

clip_image018日本風景街道と様々な主体との連携が必須なのは間違いないが、地理、制度、利害、想いの障壁がある。これらの課題を解決する手段として、地域間のなんらかの縁を口実としてモノ、ヒト、情報の交流をする「地縁展開」を提案したい。連携の成功の為には物語が明確であること、自分の努力を伝えるのではなく、利用者・消費者の視点でルートのことを考えることが重要と考える。今後は地域同士の「縁結び」をする活動をしていきたい。

4_田中 孝治 氏_車座会議話題提供資料

【意見交換】

1)「日本風景街道」と地域の連携について

村川氏:人口減を考えながらお年寄りにやさしく、若者が定住するまちづくりを行っている。今はハードの取組みのほか、ソフトも重視しながら取組みを行っている。

田中氏:連携は欠かせない。人と人、地域と地域の連携を考えないと日本風景街道も将来に繋がらない。私達が出来ることは、連携の火種を探し、火種を消さないで、火が着くまでしつこく我慢することだ。

晴野氏:日本風景街道の外にいる人間としては、日本風景街道の魅力的な情報が入ってくるとそこに行ってみたいと思う。メディアを通して、多くの人に日本風景街道を訪れて欲しいと思っている。

2)広報活動との連携でブランド力アップへ

田中氏:広報は相手の視点に立って伝えることが重要であるが、行政の広報は自分たちの努力をお客さんに伝えようとする。しかし、お客さんにとっては努力は関係ない。自分の努力を伝える広報を変えていかないと、お客さんには伝わらない。

晴野氏:広報は第3者が見て、「素晴らしい」と感じるように仕向ける必要がある。第3者に訴えかける物語をつくり、高めることが大切である。

参加者:島根の方が鳥取よりブランド化が上手いと考えている。どうしたらいいかお聞きしたい。

田中氏:ブランド力を向上させるには、「本物である」「ストーリーがある」「世の中の潮流にあう」の3つが必要である。また、ブランドとはお客さんとの「約束」と言える。ブランド力=約束力と考えたらいい。

晴野氏:ブランド化ではある一定の条件から外れたものは出さない。約束を守ることが必要。

田中氏:日本風景街道にブランド力が無いのは、約束力が無いということに言い換えられる。

3)回遊性の向上に向けた取り組みについて

野田氏:地域行政としても支援できることもある。

晴野氏:道の駅を拠点に、徒歩や自転車で楽しむことも考えられる。「ナビチャリ」や「ギャラリー巡り」等のテーマを持ったマップづくりなど、地域に実情にあった手法を考える必要がある。

田中氏:誰を呼ぶか(ターゲット)で回遊性のあり方が決まる。

参加者:宮崎ではシンガポールからドライブ観光旅行者の受け入れを行っている。日本風景街道も含め「みち」に関する様々な情報が統合されて伝わるようになれば良い。

晴野氏:インバウンドについても日本風景街道をコースに取り入れ、九州を縦断・横断するコース設定をしたことがある。

田中氏:外国人旅行者は到着・出発の関係から線での移動が多いが、日本人旅行者はぐるっと回る周遊が好きである。しかし、周るコースの設定、周遊性向上には、その場所に行く目的が必要となるため、日本風景街道それぞれのテーマを明確にする必要がある。

参加者:今年、シンガポールのプライムトラベルでは29泊30日の日本縦断レンタカーツアーを実施した。非常に人気が高く、来年も開催予定となっている。リピーターも多く、観光に訪れた際に地域との接点があることが、リピートにつながっているようだ。

作野氏:連携のテーマではソフトとハード、守りと攻めの意見が出た。また、連携の火種を見つけて、消さない、息の長い取組みが必要と確認できた。広報では改めて物語性が大切だと確認できた。また、ブランド力は約束力と言え、日本風景街道におけるお客さんとの約束の中身について検討が必要である。回遊性については「線型」「円型」のタイプに分かれるが、回遊性を向上させるには、ルートのテーマやストーリーを明確にし、地域の特性などいくつかに分けて検討する必要がある。

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◆全体まとめ

clip_image024 ・国土交通省道路局 環境安全課長 池田 豊人 氏

「住んで良し、訪れて良しのまちづくり」のため、攻め(観光客向け)のまちづくりと守り(住民向け)のまちづくりや、「人を呼ぶなら、まず自分が行く」という、地元の人もたくさん訪れる拠点づくり、さらにはその拠点での地元の方と来訪者との交流等が図れる仕組みづくりが必要だ。

・NPO法人日本風景街道コミュニティ理事(九州工業大学 教授) 吉武 哲信 氏

clip_image026石田先生の講演では、地域で頑張ることが地域以外の元気に繋がり、日本風景道が今後の日本を担っていると再認識した。また、地域を愛する気持ちを、次世代を担う若者に伝えることが我々の重要なミッションであると感じた。そのためにもジオパークのように地域の皆さんが共有できる目標を持つことが大切だ。地域同士の連携を図るきっかけ作りの役割を日本風景街道に期待している。また、広報活動などで民間企業が日本風景街道に関わっていく事例が増えれば良いと感じた。今後は道の駅と日本風景街道との関わり方についても検討していきたい。

◆閉会

次回開催地からのメッセージ

岐阜県大野郡白川村 村長 成原 茂 氏(代理)

clip_image028白川村は平成23年12月に富山県南砺市、岐阜県高山市とともに、「合掌さくら街道世界遺産を巡る道」として日本風景街道に登録されました。これは世界遺産である白川郷を中心に、歴史・自然・文化・風景などを通して、訪れる人との交流を通して、自然環境を保全しながら、美しい風景を守ることを目的としたものです。年間150万人の観光客が訪れるとはいえ白川村の人口は1,700名あまりです。おもてなしの心で皆さまのお越しをお待ちしております。

 

閉会の挨拶

国土交通省中国地方整備局長 尾藤 勇 氏

clip_image030今回の島根校では島根大学の教養科目「島根学」に組み込んで開催できたことで、たくさんの学生に聴講していただけたことは大変重要なことだと思います。政府では地方創生ということが叫ばれています。国土交通省としては7月に国土のグランドデザインを示させていただいた。私個人としては国土の多様性を維持発展させることが重要と考えている。日本風景街道の連携・交流というのはこの路線上にあるものであり、日本風景街道が地方創生の主役の一人だと考えています。

 

◆懇親会 18:15 ~ 20:00 島根大学生協 第2食堂2F

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-2日目 平成26年11月8日(土)-

◆開会 9:00~9:10

総合司会 : NPO 法人日本風景街道コミュニティ理事 原 文宏 氏

スケジュールの確認を行うとともに、各ワークショップのテーマ、ファシリテーター、話題提供者、注意事項等について説明した。

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◆個別テーマワークショップ 9:10~11:00

テーマ① 「日本風景街道のブランド力向上に向けて」

・ファシリテータ:臼井 純子 氏(NPO 法人日本風景街道コミュニティ理事)
・話題提供:田中 孝治 氏(NPO 法人日本風景街道コミュニティ理事)

テーマ② 「サイクリングで楽しむ日本風景街道」

・ファシリテータ:原 文宏 氏(NPO 法人日本風景街道コミュニティ理事)
・話題提供:
石村 隆男 氏(湖水街道推進会議 副座長)
佐藤 雄一 氏(CONCEPT、NPO法人スローライフ掛川)
井上 康志 氏(日南海岸きらめきライン)

テーマ③ 「日本風景街道の活動を次世代へつなぐ」

・ファシリテータ:鈴木 春菜 氏(山口大学理工学研究科 准教授)
・話題提供:谷越 衣久子 氏(NPO 法人日本風景街道コミュニティ監事)

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テーマ① 「日本風景街道のブランド力向上に向けて」

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テーマ② 「サイクリングで楽しむ日本風景街道」

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テーマ③ 「日本風景街道の活動を次世代へつなぐ」

◆各ワークショップの報告 11:00~11:30

テーマ① 「日本風景街道のブランド力向上に向けて」
・話題提供:田中孝治 氏(NPO 法人日本風景街道コミュニティ 理事)
各地の風景街道の取り組みなどにおいて、根本的な目的が一致しない部分が見えてきている。交流人口の拡大か、地域の誇り・愛着の育成かの地域のミッションを明確にする時期に来ており、ここからブランド作りがはじまると考える。

・ファシリテータ:臼井純子 氏(NPO 法人日本風景街道コミュニティ 理事)

clip_image046ワークショップでは「何のために風景街道をやっているのか」という根本的な話になった。当初、風景街道は地域を元気にする目的であったが、経年変化により、ビジネスを目指すグループや地域を元気にするグループなど、様々なグループが出てきている。現在は、各風景街道の目的や目標を見直しする時期に来ており、目標や目的を検討した上で、ブランドを考える必要がある。

各風景街道の幹線となるメインルートと枝道が明確ではないことから、統一的な見せ方が出来ていない。そのため、日本風景街道のブランド化が進まない。ブランドの構築では「消費者」「商品」「地域や住民」の3つの視点が必要であるが、日本風景街道には「消費者」の視点が足りない。clip_image048
さらに風景街道を先導するトップランナーの育成とともに、各風景街道や自分たちの立ち位置の確認をしないとブランド構築が進まない。

今後は道の駅との連携、風景街道のロゴマークの活用、ブランドマネジメント(ブランドの維持)、風景街道同士の区別化の4つの課題を克服していく必要がある。

テーマ② 「サイクリングで楽しむ日本風景街道」

・話題提供:石村隆男 氏(湖水街道推進会議 副座長)
日本風景街道のサイクルツーリズムでは、日本風景街道の名前を前面に出して、ゆっくり半日程度で走れる20~30kmのコースづくりが出来たら良い。「日本風景街道」という名前自体に、風景を楽しむ意味が読み取れるので、今後は、日本風景街道の名前を積極的に使用するよう提案する。

・話題提供:佐藤雄一 氏(CONCEPT、NPO法人スローライフ掛川)
自転車が持つ機能性により、風景を楽しむというジャンルが出来つつある。風景を愛でるジャンルとしての日本風景街道サイクリングができるのではないかと考える。

・話題提供:井上 康志 氏(日南海岸きらめきライン)
自転車はひとつの移動ツールと考える。サイクルツーリズムにより、風景や食を楽しむ選択肢が増えた。日焼け対策と女性目線のファッション、おいしい食べ物の情報提供があると、サイクルツーリズムへの女性の参加は今後増える可能性がある。

・ファシリテータ:原 文宏 氏(NPO 法人日本風景街道コミュニティ理事)

clip_image050サイクリストは時間や距離などを追及するアスリート型と、沿道の風景や食などを楽しむ旅人型に分かれる。日本風景街道としては、旅人的なサイクリストをターゲットとして、推薦サイクルルートの設定、マップが出来上がれば良い。マップについては、日本風景街道としてのデザインや盛り込む内容を明確・統一することで、日本風景街道のサイクルツーリズムのブランド力を高めることが出来る。今回のワークショップでは課題まで検討出来なかったが、次の宮崎本校にて、続きの議論を行う。

今後は日本風景街道コミュニティ内に「サイクルツーリズム検討委員会」、通称「自転車部」を設立し、継続的に風景街道におけるサイクルツ―リズムの検討を行っていく。コミュニティのメンバーに限らず、関心のある方の参加を期待したい。

テーマ③ 「日本風景街道の活動を次世代へつなぐ」

・話題提供:谷越衣久子 氏(NPO 法人日本風景街道コミュニティ 監事)

日本風景街道による地域づくりの活動を継続していく為には、活動に参加する人たちの意見を全て受け入れて「否定しない」、「ミッションを明確にしない」ことが重要となる。強いて言うなら、「楽しく、笑顔で活動できること」が唯一のミッションである。自発性を大切にし、自らの役割を自分で見つけて参加することが、今後の人材育成や活動の継続につながるだろう。

・ファシリテータ:鈴木 春菜 氏(山口大学理工学研究科 准教授)

clip_image052ワークショップにおいてブレーンストーミング的に討議を行った。官民学について、官と学は異動があるが、異動により風景街道同士のつながりが拡大するとも考えられ、必ずしもデメリットではない。今後の日本風景街道では、活動の核となる民の参加が重要となる。

急ではなく、ゆったりと世代交代をする。地域活動や会議なども、家族単位で参加できるように工夫することで、生産世代も参加しやすくなる。地域活動は「ゆるさ」「ハードルが低い」ことが新しい人材の参加と継続においては重要となり、あえてミッションを与えず、自発性を促す方法も有効である。ゆるく懐が深いが、裏ではしっかりコーディネートしつつも、コーディネートされていることをメンバーに感じさせないリーダー像が理想である。地域活動では入口を広く持ちながらも、テーマや目的を発散させない工夫が必要となる。

◆とりまとめ 11:30~11:45

・NPO 法人日本風景街道コミュニティ 代表理事 石田 東生 氏

今回の風景街道大学は、島根大学に全面的に支援頂き、会場の提供のほか、正規な授業として講演を実施させて頂いた。風景街道を学生に知って頂くとともに、学生にインパクトを与えられたと思う。

2日目のワークショップの成果は、今後の日本風景街道の方向性を考える貴重な情報となる。

「日本風景街道のブランド力向上に向けて」と題したワークショップでは、日本風景街道は自らを見直す時期にきており、ブランド力の向上に向けた基本的な課題を共有することが出来た。

「サイクリングで楽しむ日本風景街道」と題したワークショップでは、ガイドツアーや風景を愛でるツアーなど、日本風景街道を活用したサイクルツーリズムのあり方を共有できた。また、日本風景街道コミュニティに自転車部が発足した。

「日本風景街道の活動を次世代へつなぐ」と題したワークショップでは、官・学の異動は風景街道の輪が広がったと捉えるべきであり、否定的に捉えるべきではなく、今後は軸としての民が重要であると確認できた。次世代の育成では、家族単位での参加などが重要となり、ゆるくともしっかりしたコーディネートをできるリーダーが理想であることを確認出来た。

発足から8年が経ち、日本風景街道の社会的認知は少しであるが高まっていると思う。日本風景街道では活動の多様化、高度化が進んでおり、活動も活発になっている。それを踏まえ、今後の目標・目的を再考する時期に来ている。今までは曖昧・対内的であった日本風景街道であるが、今後は外との関係が重要となる。多様な主体との連携・協働を進めながら、日本風景街道の取組みを推進する。

追い風としては、地方創生や道の駅、サイクリングの普及などがある。しかし、地方創生は上から目線であり、日本風景街道の本質である「地域目線」や「丁寧な取組み」などが今後さらに重要となる。また、メディアの活用なども今後取り組むべき課題と考えるが、このような課題や今後の方向性の検討する役割を、「みちのコミュニティシンクタンク」が果たしていきたい。

今後は、日本風景街道とお客さんとの約束の明確化、日本風景街道の目標・目的の明確化のほか、認定制度についても見直しを考えるべき。日本風景街道大学での検討のみならず、継続的に各地で議論をお願いしたい。

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◆エクスカーション12:00 ~ 16:00

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バス車内での説明
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出雲神話風光スポット 西代橋視察
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神門通り鳥居前 視察
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神門通り 視察
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出雲大社 参拝

◆エクスカーション12:00 ~ 16:00

②島根半島サイクリング

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参加者9名(引率者含む)
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道の駅本庄にて中海周辺の風景について説明
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中海沿岸(大海崎)
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はにわロード
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八重垣神社前「神仏の通ひ路」看板
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宍道湖大橋南詰